●祖父江慎という人 ― 2008年02月04日 00時32分14秒
TBSの『情熱大陸』という番組をたまたま途中から観た。
祖父江慎が映っていた。
私はグラフィックデザイナーとかいう仕事をやっていながら、有名デザイナーの名前をまったくと言っていいほど知らない。
興味が無いからだ。
何で興味が無いのかというと、私にとってグラフィックデザインってのは仕事でしかないから。
例えばどこかの会社の生産ラインに伝説の組み立て師が居たとして、別の会社の生産ラインの人は、それを知る由も無いだろう。当然興味を持つコトだって無い。
それと一緒の話だ。
が、そんな私でも唯一知ってる名前がある。
それが祖父江慎。
私がこの仕事をし始めじめて、ぼちぼち新人に毛が生えたくらいに思えた頃、吉田戦車の『伝染るんです』というマンガがあった。
そのブックデザイン(装丁)をしたのが祖父江慎である。
週刊連載時、その4コママンガ作品の、作品以外のスペースにちりばめられていたレイアウトデザインの「変さ」に加減に衝撃を受け、自分の仕事でも、何とか同じように「変なコト」が出来ないモノか! と試行錯誤してみたモノである。
『きくちゃんどんちゃんごきげんファミコン』のページとかで(笑)。
今思い起こせば、もしかして週刊連載のデザインをしていたのは祖父江慎では無いのかも知れない。
(単行本の方には確たるクレジットがされていたので、祖父江氏の物だと明言出来るが。ソースは私の記憶でしかないが。)
まぁ、それが間違っていたとしてもさして重要では無い。
それを機会に私が祖父江慎の名前を知った事は事実なのだから。
そして『伝染するんです』の単行本も、充分に「変」だったから。
『情熱大陸』の中で、初めて動く祖父江慎を見た。
いや、顔すら初めて見た。
見るからに「異能の人」だった。
そして痛感しました。
「やっぱり『異能の人』にはかなわないや」と。
映像の中で、祖父江氏は表紙と見返り(表紙を開いた時の内側)が表裏逆になった装丁を提示する。
製本屋は「そんな事をしたこと無い」と難色を示す。
製本の生産ラインに出向き、百冊単位の製本テストをチェックをする祖父江氏。
「やあ、コレは変でイイですね」と無邪気に喜ぶ祖父江氏の横で、とても迷惑そうな製本ラインの主任の顔が、とてもステキ過ぎ(笑)。
百冊単位の束見本(ダミー)を作るのにだって金は掛かるし、そんなイレギュラーな事をさせられたら製本の過程でミスも起こるし手間も増える。
製本屋が嫌がるのも当然である。
普通、単にハタ迷惑なだけです。
が、それをやらせてしまえるというか、それでもやれてしまえるというのは、それが祖父江慎だから。
私なんかが仮に同じ事を「やりたい」と言っても、先ず「お金と時間がありません」と取り合ってすらもらえません(笑)。
「男の子の遊びは先ずルールを決めてからその中で遊ぼうとする。それがどうにも楽しく無くてね」と言いながら、森の中で小川の川面に指を入れ、水面に出来た波紋を見て、
「ほら、このぐるぐる。綺麗ですよね。
わざわざコンピュータで作ることなんてないのに。
ここにはいっぱいあるんだから」
と無邪気に喜ぶ見た目50〜60歳くらいの小柄な男性。
それが祖父江慎。
異能に憧れてしまう時点で、自分の凡人さが身に染みます。
まぁ、かなう必要は無いんですケドね。
生きていけるだけの仕事がある自分でありさえすれば(笑)。
ああいう人達は、ああしなければ生きて行けないんだろうなぁ。
祖父江慎が映っていた。
私はグラフィックデザイナーとかいう仕事をやっていながら、有名デザイナーの名前をまったくと言っていいほど知らない。
興味が無いからだ。
何で興味が無いのかというと、私にとってグラフィックデザインってのは仕事でしかないから。
例えばどこかの会社の生産ラインに伝説の組み立て師が居たとして、別の会社の生産ラインの人は、それを知る由も無いだろう。当然興味を持つコトだって無い。
それと一緒の話だ。
が、そんな私でも唯一知ってる名前がある。
それが祖父江慎。
私がこの仕事をし始めじめて、ぼちぼち新人に毛が生えたくらいに思えた頃、吉田戦車の『伝染るんです』というマンガがあった。
そのブックデザイン(装丁)をしたのが祖父江慎である。
週刊連載時、その4コママンガ作品の、作品以外のスペースにちりばめられていたレイアウトデザインの「変さ」に加減に衝撃を受け、自分の仕事でも、何とか同じように「変なコト」が出来ないモノか! と試行錯誤してみたモノである。
『きくちゃんどんちゃんごきげんファミコン』のページとかで(笑)。
今思い起こせば、もしかして週刊連載のデザインをしていたのは祖父江慎では無いのかも知れない。
(単行本の方には確たるクレジットがされていたので、祖父江氏の物だと明言出来るが。ソースは私の記憶でしかないが。)
まぁ、それが間違っていたとしてもさして重要では無い。
それを機会に私が祖父江慎の名前を知った事は事実なのだから。
そして『伝染するんです』の単行本も、充分に「変」だったから。
『情熱大陸』の中で、初めて動く祖父江慎を見た。
いや、顔すら初めて見た。
見るからに「異能の人」だった。
そして痛感しました。
「やっぱり『異能の人』にはかなわないや」と。
映像の中で、祖父江氏は表紙と見返り(表紙を開いた時の内側)が表裏逆になった装丁を提示する。
製本屋は「そんな事をしたこと無い」と難色を示す。
製本の生産ラインに出向き、百冊単位の製本テストをチェックをする祖父江氏。
「やあ、コレは変でイイですね」と無邪気に喜ぶ祖父江氏の横で、とても迷惑そうな製本ラインの主任の顔が、とてもステキ過ぎ(笑)。
百冊単位の束見本(ダミー)を作るのにだって金は掛かるし、そんなイレギュラーな事をさせられたら製本の過程でミスも起こるし手間も増える。
製本屋が嫌がるのも当然である。
普通、単にハタ迷惑なだけです。
が、それをやらせてしまえるというか、それでもやれてしまえるというのは、それが祖父江慎だから。
私なんかが仮に同じ事を「やりたい」と言っても、先ず「お金と時間がありません」と取り合ってすらもらえません(笑)。
「男の子の遊びは先ずルールを決めてからその中で遊ぼうとする。それがどうにも楽しく無くてね」と言いながら、森の中で小川の川面に指を入れ、水面に出来た波紋を見て、
「ほら、このぐるぐる。綺麗ですよね。
わざわざコンピュータで作ることなんてないのに。
ここにはいっぱいあるんだから」
と無邪気に喜ぶ見た目50〜60歳くらいの小柄な男性。
それが祖父江慎。
異能に憧れてしまう時点で、自分の凡人さが身に染みます。
まぁ、かなう必要は無いんですケドね。
生きていけるだけの仕事がある自分でありさえすれば(笑)。
ああいう人達は、ああしなければ生きて行けないんだろうなぁ。
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