円谷2007年10月20日 08時09分25秒

人様の日記にとあるレスを付けたのですが、何だか自分の話として書きたくなったので日記にて加筆。
元はココ↓
http://tomokz.at.webry.info/200710/article_9.html
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 人気キャラクター「ウルトラマン」で知られる円谷プロダクションの親会社・円谷エンタープライズが17日、映像制作会社ティー・ワイ・オー(TYO)の子会社となり、都内で会見した。

 ウルトラマンは、怪獣との対決でミニチュアの街並みが破壊されるシーンでおなじみだが、TYOの吉田博昭社長(58)は「CG合成の方が、よりリアルなものが安価でできる。『(ミニチュアの)ちゃちさがいいんだよね』というのはオタク。あまりに少数の人たちの異常な愛着にこだわってはいけない」と発言。自社のCG技術を駆使して、新しいウルトラマンを作っていく考えを示した。

(2007年10月17日20時03分 スポーツ報知)
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え〜、私もミニチュアや着ぐるみのいわゆる「特撮」と呼ばれる作品がそれなりに好きな1人ですが(好きな方だとは思うんですが、結局『仮面ライダー電王』も『ゲキレンジャー』もここんとこ見なくなっちゃったしな〜)、円谷の赤字の話を聞くと致し方ないかな〜。とは思います。
またそーゆー金銭面的なコトを考えたり、CG制作に誇りを持っているであろう(や、その会社のコトはよく知りませんが)買収先の社長さんの気概としては、そーゆーコト言い出す気持ちもわからんではないので、とにかくその心意気で作られた作品を見てから判断をしましょう。と思うワケです。
全てをハナからダメだと言っても始まらないですし。
少なくても、そのままでは潰れてしまっていたハズの円谷を救ってくれたワケですから。
とりあえず今後の円谷のタメにもヘタレなCG作品を作って「ホレみたコトか」と言われない事を望みます。
「特撮」ファンにも納得がいくCG作品を作ってくれればいいだけの話ではないかと。
(ソコが難しいという話もありますが(笑)。)

とは言え、私も手作業からコンピュータに移行してしまった業界の中の1人ですが、自分の仕事上での感想を言えば、はっきり言ってコンピュータって何でも出来る分、演出ばかりが派手になり、本質を見失いやすいんですよね。
電脳だヴァーチャルだ、って言うくらいなモンで、コンピュータ上だと「昔の職人達が指先に感じてたリアルな何か」を感じ取れないままに作られてしまっているような気がします。様々な物が。
だからこそ、逆に作品に魂を込める事が難しくなっているのかと。
何しろデータで作られた物には、そこに込める事が出来る魂すらヴァーチャルになってしまうワケですから(笑)。

例えば私の職種(エディトリアルグラフックデザイン)での一番の骨組みは「割り付け」になります。
文章を読みやすいように配置したり、写真を限られた誌面の中で的確な大きさに配置したりするコト。
コレが一番重要なワケです。
誌面に構成する以上、文章は「大見出し」「中見出し」「小見出し」にそれぞれ段階的に内包され、その大きさや理屈を揃えておくコトで、ページが離れようがページ構成が複雑になろうが読む側が不自然に思うコト無くすんなり理解する事が出来る。
先ずソレが筋。
派手な誌面演出はその後に初めて来る物。
ところがその骨組みの煮詰めも甘いままに、カッコイイ風な派手なテクスチャーを1枚ぺろんと背景に貼り付けたダケの方が「これカッコ良くね?」喜ばれるというという現実。
そうでは無いだろ! と思うワケですよ。
作り手も客も、本質を見ようともせずに見た目の派手さだけを追い掛ける。
そんなコトだから仮面ライダーのデザインも最早子供がソラで描く事も出来ないような複雑なデザインになって行ってしまうんですね。
ガンダムのデザインだってもうワケがわかならいくらい複雑になってしまうのですよ。
そのくせ、じゃぁそんな派手でカッコイイキャラ(ロボやヒーロー)が動いてくれる作品で、お話が面白い
物がどんだけあるのか! って話なワケです。
カッコ良くても中身が無いじゃん!
現に『仮面ライダー電王』も『ゲキレンジャー』も観なくなってますし、私。

みんな、もっと本質を見ましょうよ。
作り手も、客もさ。

(何だか、書いてたら途中で話が変わってしまったような気がする(笑)。)

コメント

_ ゲッターママ ― 2007年10月20日 20時32分25秒

 いや、お恥ずかしいというか、恐縮というか。コメントありがとうございました。
 コンピュータでいろいろなことができる、ということにこだわるあまり、「何のためにそれをやるのか」を見失うことってありますよね。その仕事の本来の目的を忘れてしまう。今後この会社がどの程度作品づくりの手法を改革するかわかりませんが、最終的な目標が単に「CGの多用」、ましてや自社のPRではないことを祈ります。

_ ひろz ― 2007年10月21日 21時36分57秒

★ゲッターママさん
引用記事の文章のみを読んだ場合、ママさんのように「愛や尊敬が無い」と憤慨されるのは至極当然だと思います。
ただ、TYO吉田博昭社長の人格もバックボーンも、その会見内でどんな文脈で件の言葉も語られたか知らない単なる観客の私には「出来上がった作品を観る」以外に判断出来ないかな〜。と思います。
(もしかしたらホントは吉田博昭社長という人は円谷への愛が溢れている人で、決意と断腸の思いからそういう言葉を言っているのかも知れませんし。や、調べる気もつもりも無いのでホントのトコは単に門外漢がバカにしてるダケなのかも知りませんが(笑)。)
ただ、カラー作品が当たり前になってしまった今日、いくら『ウルトラQ』は白黒作品だからイイんだよ。と言ったからといって白黒映画をテレビシリーズで作り続ける事が出来ないように、古い技術は新しい技術に駆逐される運命なのは仕方無いのかな〜。と。特に商業作品である以上。
そうでなければ「特撮」は無形文化財として保護するべし!とかいう話になりかねませんし(笑)。
悲しいケド、コレ現実なのよね。
だからこそ、CGだ特撮だとかの論点では無く、主たるは「魂のこもった作品であるか」どうかの方が重要なのではないかと。
なので単なる観客の私にはヘタレな作品を作ったならば、その時初めて「ホレ見たコトか!」と罵ってやるコトしか出来ないかな〜。と。
あ、「そんなヘタレな作品を作るんじゃねーぞ!」と、当初から監視の目を光らせるってのも、それもまたすべきだとは思います。

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