劇場版『宇宙からのメッセージ』観ました。2015年09月01日 23時39分18秒

1978年4月29日公開作品なので、37年振り?ですか。
借りて来た、劇場版『宇宙からのメッセージ』観ました。
当時と同じ感覚で観れて面白かったです。
印象としてはそこまでチープというワケでもなく、ストーリーもテンポ良く、エピソードの盛り込み方もふんだんにあったにもかかわらず破綻せずバランス良くまとまってました。

ただまぁSFとしては確かにダメだなぁってのは言われている通りかと。
宇宙遊泳のシーンで口を覆う酸素マスクだけ着けて、素肌を晒したまま宇宙空間を平泳ぎするのはさすがに。
(一緒に観てた奥さんも失笑してた)
宇宙空間から地表に向けてのチキンランもそうだけど、この作品には大気圏の概念が無い。
この時期は『宇宙戦艦ヤマト』やロボットアニメの弊害で、一隻(一機)で大帝国を滅ぼせて当たり前になってしまってるのでその辺りの描写が嘘過ぎる。とか、アラを探すときりがない。
(たかが小型戦闘機1機の体当たりで爆発する巨大戦艦とか)

でもキャラクターが凄く立っててイイのですよ。
ビック・モロー演じる、腐敗した連邦に失望して出奔し飲んだくれのフーテンになったゼネラル・ガルダの渋さとか、宇宙暴走族のアロンとシローのガキんちょ振りとか、ゼネラル・ガルダに仕えるベバ2号とか、最後は結局全部持ってくハンス王子の千葉真一無双とか。
劇中ではおとなしい健気な線の細い美人のエメラリーダ(志穂美悦子)は実は素手で戦った方が強いんじゃないか(すみません)とか。さすが長渕の嫁(重ね重ねすみません)。
スペースオペラなのに、まんま日本の当時のチンピラヤクザのジャックとか(スゲー浮いてて、何で?と思う(笑)。キャラとしてはいいんだけど)、小林稔侍の宇宙パトロール フォックス巡査のパイロットスーツがこれまたまんま白バイ警官の格好で(これは逆にワイルド7っぽくて良かった(笑))、とか。


リアベの実がストーリーを誘う役所とはいえ、その出没があまりに自由過ぎて好き。
お酒に入るとただの酒を高級スコッチの味に変える機能付きとか幸福を呼ぶペンダントになるとか。

特撮というかセットや爆発に金かかっていてその辺りはガチで見所。
なんてったってアロン号とシロー号とリアベ号の実物大セット作ってますから。

でも一番の見所は、ジルーシア星に伝わる伝説のリアベの勇者捜しに奔放し、集まった勇者が全て他星他民族(チンピラ含む)の現状に忸怩たる思いであろうジルーシア人ウロッコに対し、本当に言ってはいけない場面で「ロボットの私でもリアベの勇者になれたんですよ」と言ってしまうベバ2号。
あれはひどい追い打ちです。さすがロボット、空気が読めません。


時代の流れとして、その後の現在の『ニンニンジャー』や『仮面ライダードライブ』に至るまで連綿と続く現代東映特撮の礎になってるなと思いました。
『宇宙刑事ギャバン』なんか直系にイメージしてもいいかも。さすが東映&石森。
成田三樹夫さんのかぶり物のデザイン及び造形なんて現代でも違和感無く通用する出来だし。
映画で金かけてあれだけ完成度の高いセットや小道具作ったんで、そりゃ流用したTVシリーズ(『宇宙からのメッセージ 銀河大戦』)作るわ。
流用は大事です。
上手く使えば50年だって使い続けられますからね(笑)。
ビック・モローを始め、主演俳優に外人さんを配役していることもあり、この映画、外人役者さんたちは英語で演じていて、日本語をアテレコしているのですが、
現場では日本人役者の日本語セリフに外人役者が英語で答える。というやりとりだったみたいなんですね。
そのせいか長尺カットが無いんですよ。
そこから生まれた細かいカット割りが、テンポの良さを作っているので、初めから最後までダレません。
新人俳優使うので長セリフ言わせられないから細かいカット繋いでテンポを上げる現代の東映特撮に通じます。


一緒に観てたウチの奥さんの言を拾うと、金貸しにアロンとシローが借金を取り立てられるシーンは「深作監督っぽい」とのこと。
面白いとは言ってくれてたけど東映特撮はそれほど好きではないっぽい感じ。

東映特撮好きか、上記のツッコミ所を笑って流せる人なら、とても面白く観れると思いますよ。
個人的には本当に好きな作品なので、SF考証をちゃんとした上で、現代版としてリメイクしたら凄い名作になれる可能性のある作品だと思います。