11月27日『かぐや姫の物語』観に行きました。2013年11月30日 10時24分18秒

11月27日、『かぐや姫の物語』観に行きました。

現在TVKで『赤毛のアン』が毎朝再放送されているのですが、コレがとても面白く、夫婦共に毎日楽しく(録画して)観ているとは以前の日記でも書きました。
で、丁度そんなタイミングで同じ高畑勲監督作品が劇場公開されるということだったので「コレは、このタイミングでこそ観に行け」という天のおぼしめしであろう。と観に行くコトに。
てかこの作品、映画館で観ないと絶対に今後観ないんじゃないかなー? と思えたので(笑)。
(テレビでやったとしても、録画して観ないままブルーレイにダビングしてそのままタンスの肥やし状態みたいな)


感想を言うと「とても良かった」です。
で、観に行くべき映画だったかと問われれば「観に行くべき映画だ」と答えられます。

誰でも知ってるかぐや姫の話を、付加した演出はあるものの、誰もが知ってるままにお話を紡いでいるというのにちゃんと感動させてくれるのだから、それはもう凄いです。
全編あの筆のタッチがなめらかに動いてアニメーションしてくれるという奇跡のような作画には、まったく違和感を感じさせず、ただ驚嘆するばかり……いや、あまりにも自然過ぎて、当たり前であるかのようでした。
ジブリでよく言われる声優問題もプレスコ(声を先行録音し、それに合わせて作画する手法)のせいか、一般俳優で固められているのにかかわらず、こちらも違和感無かったです。
劇中の声を聞いてて俳優さんの顔が浮かんだのは「竹取の翁」の地井武男さんだけだったなぁ。(逆に「竹取の翁」に関してはむしろ地井さんの顔が見えた方が良いと思えたくらいなので、問題は無いです)

とにかく本当に完成度が高く素晴らしい作品でした。
以上。

……と、まとめると、何だかやたら味気ない感想文にしかならないですよね(笑)。
いや、それこそが本当に『かぐや姫の物語』の感想なんですよ。

ぶっちゃけ「地味」なんです。

『かぐや姫の物語』って制作年数に8年、制作費なんて50億円もかかってるんですよ!
なのに「地味」。
や、ほんとうに作品としての仕事は丁寧で、観る価値はとてもあるんです。
素晴らしい作品なんですよ。
でも、完成し過ぎてる作品って、あまりにも自然過ぎて、それが本当に凄いのかどうか、よくわからなくなっちゃうんですよね。
凄いことが当たり前になっちゃうので。
前出の「筆のタッチがなめらかに動いてアニメーションしてくれるという奇跡のような作画」も、最初は「おおっスゲー!」と思うものの、それが2時間半という上映時間中、当たり前のように全編動いていたら、それは「当たり前」のことになってしまうので、特段心を動かされることは無くなってしまうのですよ。
むしろ作り手としては、自然に見えるように必死になって作るワケですから、そう思わせてこそ勝ちなので、
それでこそ「良し」なのですが。
「奇跡のような作画が出来てこそが前提」の作品なので、逆に引っ掛かって悪目立ちする部分がひとつでもある方が負け(とはいえそれだって普通のレベルで言えば高い部類だったとしても)というハードル上がりまくりの作品。
そしてそれを完遂させている奇跡のような作品。
それが『かぐや姫の物語』です。
……なのに、奇跡を全編に通して完遂させてしまったが故に、奇跡を当たり前にしてしまったがために、印象が普通になってしまった作品。でもあるわけです。

甘いスイカに塩を掛けて食べる。とか、
白の綺麗さを際立たせるために白いインクの中に黒インクを一滴垂らす。とか、
塩ようかんとか塩キャンディーとか。
そういった不完全な部分をあえて残せる魅力の出し方を上手く織り込められてたら、もっと訴求力がある作品になったかも。とは、やっぱ求め過ぎなんでしょうかね。
その点「女童」というキャラクターは、その目的で十二分に果たせていたと思います。思いますが、「女童」だけではちと弱い感じ。「女童」大好きですが。


これね、作り手の高畑監督はとっても幸せだったと思いますよ。
こんだけ高い完成度の作品を思う存分作れたのだから。
作り手としてうらやましい限り。
そして高畑監督の凄いトコはちゃんと目線が客に向いてるので、上記のような「凄い」部分がひとりよがりになって無い所。
観ててちゃんと面白いです『かぐや姫の物語』。


あと、最後の最後のシーンで、演出論的に「A」か「B」かと選択出来るシーンがあるのですが(これ、「A」「B」でなく具体的に書いちゃった方がわかりやすいのですが、ラストシーンなので一応伏せておきます)、「A」を選んだ高畑監督は「いい人なんだなー」と思いました。
私だったらそこは「B」の方法論を取って、ただ涙を流させるだけ(もしくは少し口元を歪ませる)にしがちかな、と。(きっと富野監督なんかもそうさせがちだと思う)
「地球を肯定する映画なんです」という高畑監督の言葉はあの「A」のシーンが象徴してると思いました。


最後に余談ですが、
今回水曜日だということでレディースデーで奥さんの料金が1000円になったのは、ウチの家計的にもありがたいのですが、だったらメンズデーも作って欲しいよなー。と思う限り。
ずるいよー。男女差別だー。
男だって1000円で映画観たいよー。

コメント

_ リンキー ― 2013年12月18日 00時55分47秒

二時間半もあるって事に驚きました
わが家のぼう、耐えられるかな?
シネマタウンって所だとメンズデーありますから
もっと普及して欲しいですね

矢沢永吉のライブビューイング行って来たんですが
映画館に行くこと昔より増えましたよ
ただ単に年かもですが(^^)

_ ひろz ― 2013年12月18日 14時51分55秒

★リンキーさん

上映時間をちゃんと調べたら137分(2時間17分)でした。
2時間半は上映前のコマーシャル入れた時間でしたね。すみません。

メンズデーあるトコもあるんですか。いいなぁ。
私の近辺だと無いような気が(知らないだけかも)。

私は映画館って一人ではあまり行く気がしないタイプなので、ウチの奥さんと付き合って以降、映画館に多少は行くようになりました。
それでも年に2〜3回かなぁ。

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