『ハガキ職人タカギ!』読みました!2015年03月01日 15時49分03秒

去年の11月に買って積ん読状態だった『ハガキ職人タカギ!』ようやく読了。
とはいえ、いざ読み始めると2時間くらいで一気に読み切れるくらい、読みやすくて面白かったです。

作者の「風カオル」さんとは直接の面識はありませんが、インターネット上で知り合ってかれこれ10年以上?のお付き合いがある方なので、レビューには友人フィルターがかかってしまうかもと先に断っておきますね。
とはいえ私が『電エース』を褒める時ほど、フィルターの度合いはひどくないと思います(笑)。

「ハガキ職人」とは、別に紙を漉いて葉書用紙を作成する人のことでは無く、雑誌の読者やラジオの聴取者向けのコーナーにネタを投稿する人達のこと。近年はFAXやメールやSNSで投稿することの方が多いと思われるが、一般名詞的に「ハガキ職人」と言う。
本編の主人公、広島県在住の高校二年生、高木正広は筋金入りのハガキ投稿オタク(メール投稿だけど)。
彼の主戦場はラジオ。ラジオネーム・ガルウイング骨折として、全国のラジオリスナーにその名を轟かせている。
というのが基本設定。
そんなハガキ職人な高校生の青春ストーリーが『ハガキ職人タカギ!』なのである。

この小説、深夜ラジオが好きで聴いてた人なら「スゲー、わかるわー」というシンパシーを感じられること請け合い。
内容紹介のコピー文に「イマドキの若者」とあるが、そのイマドキの若者がツイッターやスカイプを使いこなして聴いている番組のオープニング曲がクラフトワークの『電卓』だったりする辺り、作者の風さんわかってるー!と拍手喝采ですよ。
何故イマドキ『電卓』!?
10代20代、いやさ30,40,50,60代と、世代を越えて「その手」のサブカルなヒトタチの心をくすぐってくれます。
次はぜひDEVOの『Whip It』を絡めてお願い……とか言い出したくなるものの、うーん、DEVOだとそこまでメジャーじゃないからなー。やはりクラフトワークでないと伝わらないか……と感心するくらい、そこかしこに登場する世代感を感じさせるキーワード群のチョイスの仕方が絶妙!
このくすぐられ感は買って読まないと伝わりません。

あと、とにかく感心するのが、投稿ハガキ用のネタの量。
(ここで言うネタとは例えばNHKでやってる『着信御礼!ケータイ大喜利』の「お題」に対し投稿者が出してくる「作品」とほぼ同義。古くは週刊少年ジャンプの『ジャンプ放送局』、月刊OUTの『私立さくま学園』、『谷村新司・ばんばひろふみのセイ!ヤング』の『天才秀才バカ』等と同じ。あ、あと『欽ドン』の……と、書き出してみると、世代を越えて普遍的なんだよな、この世界観は)
当たり前だけど、主人公が投稿するネタだけではなく、彼の主戦場である深夜のラジオ番組「大公民館」で放送されるネタを各有名ハガキ職人のキャラクターに合わせ全て考えなければいけないわけですよ。
その膨大たる量と言ったら、小説を書く側に立ってみたらちょっと考えたくないほど。
それくらい、これでもかと投稿ネタが詰め込まれています。
凄い!
しかも、この手の「お笑い」をベースにしたお話で一番怖いのは、劇中で「このネタ大爆笑!!」とベタ褒めされているネタが現実的に読んでるこちら側にしてみると、全然面白く無くて笑えないことなのですが“ほぼ”そんなコトはありません。
全編笑えます。
や、正直「お笑い」って人の好みに凄く左右されると思うので、万人が絶対大爆笑ってことは無いと思うんですよね。
(“ほぼ”って意味はそーゆー意味)
ライブとかノリを共有してる空間でならまだしも、小説だと絵も音も無い文だけだから。
だから、ストーリーに対しての抑揚を壊さないレベルで「お笑い」がクリア出来ているのなら、それで良しだと思うんですよ。爆笑出来るに越したことはないですが。
で、それは十二分過ぎるほど、クリア出来てます。
(個人的には「このネタ、一番スゲー!」となる所でオレは1つ前のネタの方が好きだなー。とかいう箇所は、確かにいくつかありましたが)

で、大事なそのストーリー。
全編に溢れる「お笑い」感の裏で、ちょっと考えさせられる真面目な青春ストーリーが展開してるという、1冊で2度美味しい作りになってました。
どんなストーリーかって言うと、そうですねぇ。
私のブログを読んでるような人付き合いが苦手なあなた!
あなたにこそオススメです!! 
的なストーリーでしたよ。
面白い1冊なので、あとはぜひ、購入して読んでみてください。税抜き1000円です。

ハガキ職人タカギ!
風 カオル
単行本 – 2014/11/11
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%8F%E3%82%AC%E3%82%AD%E8%81%B7%E4%BA%BA%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%82%AE-%E9%A2%A8-%E3%82%AB%E3%82%AA%E3%83%AB/dp/4093863962



追記
この作品には実は裏テーマが潜んでいるコトを石川賢ファンとしては見逃せないわけですが!!
ゲッター炉ネタをねじ込みたい一念で書かれた作品だということがとてもよく伝わる良い作品でした(笑)。