●5月3日 楽器持ち寄りオフ2008年05月06日 01時38分56秒

5月3日は毎年恒例、スペクトラムファン達が思い思いに楽器を持ち寄って(楽器出来ない人は手ぶらでも良し)、飲んで歌って演奏して大騒ぎをしちゃいましょう! というオフ会をやっているワケですが、今年も行って来ましたヨ!!
てか連休中は基本的に仕事の予定なので、コレに行けないとオレの連休中のイベントは一つも無くなってしまうのですよ。
ホント、行けてヨカッタです。

とはいえ前日の深夜まで仕事をしてたため、その後(仕事でテンションが上がったままなタメか、はたまた昼と夜が入れ替わった狂った体内時計のせいか)まったく寝れず、完徹状態で出向くコトに。
お昼のお茶会の0次会は念のため不参加にしていたので、余裕を持って本命の1次会の楽器オフからの参加。
駅から出ると、お酒&おつまみ買い出し隊にばったり出くわす。
楽器が出来ないオレは通常買い出し隊要員なので、幹事のみらくるさんに「ニヤリ」とされると、そのまま首根っこをつかまれズルズルと引きずられるままに食料品ストアに連れ込まれ、お酒の荷物運びをさせられてしまいます(笑)。

会場は音楽スタジオ。
音楽をやらないオレは、ココ以外の音楽スタジオに入ったコトは無いんですが、多分フツーの音楽スタジオ。
食料品の持ち込みが可。らしいので、ソコにお酒やらおつまみやらを持ち込んで、演奏をしながらの宴会。となるワケです。
多分音楽スタジオ側にしたら、ハタ迷惑な使い方をしてるんじゃなかろうかと(笑)。
でもこの会場になって早3回目(3年目)なワケだから、なんだか大丈夫みたいですよ?(笑)。
とはいえ宴会とは言っても、ソコはアレです。
参加者25名の内、楽隊側が13人とかそのくらいの人数が居るワケで、演りたい人は演りに来てるワケですよ。
楽器セッテイングを手早く済ませると、そこはもう簡易ライブ会場とも思えるような風景。
(但し狭いのでかなり配置がグチャグチャ(笑))
今回はツインドラムだわ(しかもドラムが向かい合ってるし)、トランペットは一人しか居ないのにトロンボーンが最終的に5人も居るわと何だか凄い状況でした(笑)。
各パートのプレイヤーがちゃんと計算して揃わないという、このカオスな状況こそ楽器オフの最大の魅力!!
基本、やりたい人がやりたいように楽しめばいいのよ(大人の節度を持った上でね)といった、会の方針がこの状況を呼ぶワケですが、ソレがイイ!!
元々「ステージが設置されてる広いカラオケ屋さん」で始まった(オレが初参加の時はそうだった)モノなので、宴会の合間に演奏して〜を繰り返すぐだぐだな感じを楽しむのがこのオフの真髄。
いいんですよ、楽しければ!
そのカラオケ屋がツブれてしまい会場がその音楽スタジオになってからは、演奏する側にとっては音の充実が得られるようになり、演奏のグレードがどんどん上がって来てますが、基本はそっち。
演奏する側も出来ない人も関係無く、みんなが楽しければソレでいいんです。
(極端な話、本来スペクトラムの楽曲には無いパート……バイオリンやらハーモニカやら三味線とかで参加してもイイんじゃないか?とか思ったりするんですが、どうなんでしょう?
オレは楽器が出来ないのでそこら辺わからないですが。
ジャズの即興よろしく、その場のノリで〜なんてのも面白いと思ったり。←素人考え)

と、4時間に及ぶ狂乱の宴はあっという間に終わるのでした。

2次会は毎年行っていたはるの亭がツブれてしまったようで、違う飲み屋に。
コース料理を頼んだら、その中に「しらす&わかめごはん」らしき物が出て来たのですが、
今回初めての参加者の方に「これが<例の『高菜チャーハン』>ですか?」と言われてしまう。
泣く泣く「違うんですよ」と答えるハメに。
もう二度と食べられ無いんです、あの高菜チャーハンは。
嗚呼、涙なみだの物語。
また、コース料理には「ロシアンたこ焼き」(1皿15コくらいの中に激辛モノが2〜3コ入ってる)があったりして、激辛モノはPONさん他数名にHIT!
オレはセーフでしたよ〜。ふふふん。

3次会はいまだ残ってる20人近くの人数でカラオケ。
1次会であんだけスペクトラムの曲を唄い演奏したというのに、ココでもスペの曲を入れまくり、飽きもせず大合唱。
おバカな人達はホントステキですね(笑)。

延長会は、さすがに完徹明けのこの身には辛く、オレのオフ会は3次会で幕。
最近延長会には出れないでいるので、いつかリベンジしたいです。

といった、充実した1日を過ごせたのでした。
皆さんホントにありがとう!
また来年もヨロシクです。

(朝からこの文を書き始めたら何だかダラダラと長い文になってしまうわ、仕事しながらだったモノで思うようには書けないわで、こんな時間まで掛かってしまいました。
ただでさえ書くのが出遅れてるのにぃ〜。
なので文字校正をしないままアップしちゃいます。読み辛かったらすみません)

●しらす干し2008年05月14日 06時57分26秒

しらす干しにお湯をかけるだけで簡単なお吸い物が出来る事を発見。
しらす干し1に対しお湯1〜1.5くらい?
ノノそんなお湯の量ではお吸い物とは言わない(笑)。

や。しらす干しに湯通ししようとお湯掛けたんですが、
湯切りするのがめんどくさかったので少しダケ掛けてみて、
さらに実際に湯切りするのがめんどくさかったので、
「飲んじゃえ」と飲んでみたトコロ、塩気とダシが出てて結構美味かったと(笑)。

ウチの田舎の漁師料理に「まごちゃ」というモノがありまして、
アジのタタキ(細切れですよ)をご飯の上にのっけて醤油をかけて、
その上からアジのタタキが煮えるようにお湯をぶっかけて食う。という
アジのタタキのお茶漬け。みたいな食べ方があるんですよ。
アジのタタキからダシが出るので、醤油以外に調味料はいらいないのです。
(基本的には、という話ね。
ま、もっと美味く食べたいと思うなら、掛けるのはお湯じゃなくダシ汁の方がいいんだろう。とかはありますが。
味の素掛けるとか。
あ、お湯掛けるダケなので魚が生煮えになりやすいタメ、要注意です。
ちゃんと煮えてくれないとダシも出ないし。
その場合、醤油のお湯割りを飲むハメになりますよ。
あと、生煮えだと危ない魚もありますしね。
なのでアジのタタキが良いワケですよ。)

んで、そのしらす干しにお湯掛けたダケってーのが、
「まごちゃ」と理屈は同じだな〜。と思ったのでした。
なので、てきとーなコトは言ってないのですよ。

ノノホントかな?(笑)

申し訳ありませんでした。2008年05月14日 07時14分22秒

何だかblogの設定を自分で気付かない内にいじってしまっていたみたいで、
コメントが非表示になっていたのに今気付きました。

shizukaさん、ゲッターママさん、コメントを書き込んでいただいていたのに
気付かずに申し訳ありませんでした。
今、レスを書いてる時間がちょっと取れないので(或る程度ちゃんとしたレスを書きたいので)、
しばらくお待ちいただけると幸いです(2〜3日以内?)

ゲッターロボ-The beginning- 009(第2章)2008年05月19日 23時04分06秒

「ほう。ふむ。ほほう。おーおーおー、なるほどのう」
 目にも止まらぬ早さで敷島教授はレポート用紙をめくっていた。
 端から見れば、ちゃんと読んでいるのかと思えるの程の早さであるが、これで本当に全文を理解してしまっているのだと言うから驚きである。
「うむ。さすが早乙女君じゃ。ワシの目に狂いは無かったのう」
 わずか数分で読み終えた百枚近くもあるレポートの束を机の上にバサッと投げると、他人を見抜く自分の眼力に自画自賛したのか、満足そうに自分の顎を撫でた。
「<ゲッター線>の特性を利用して超高温で加圧処理をすれば、ゲッター素子を内包した合成鋼が精製出来るというのは誠に興味深い見解じゃ。
 ……じゃがな」
 敷島は、火傷でただれたために瞼が引きつり、大きく見開いてしまっている右目を、ギヌリと早乙女に向ける。
「γ軸の数値が低過ぎやせんかね。
 コレじゃ融合する前に自壊しかねんぞ。
 早乙女君はそーゆートコが丼勘定でいかんのう。
 科学者たるもの数字で他人を説得させにゃ、誰も認めてはくれんよ。ん?」
「すみません。
 でも今回のレポートは、具体的な数値よりも着想の方を優先的にまとめた物ですから……」
「言い訳はいかんのう、早乙女君」
 敷島はピシャリと早乙女に釘を刺す。
 そうは言っても、<ゲッター線>は未知のエネルギーなのだ。
 たかがひと月やそこらで解明出来ると思う方が無茶である。早乙女にしてみれば無理難題を押し付けられているのに等しかった。
 やっつけなレポートになるのも当然である。
 とはいえ、ざっと目を通しただけで早乙女のレポートの穴を指摘してしまう敷島の才能は尊敬に値するものであり、さらには早乙女に内緒で“あんなもの”をたった1ヶ月で形にしてしまわれては、早乙女にはぐうの音も出ないのである。
 異能故の異端なのか。異端であるからこその異能なのか。
 敷島教授の才能は、天才と言うべき域にある事は間違いが無い。
「いえ、現実的にγ軸の理想数値を再現出来る施設が現在何処にも存在しませんから、実現可能な最大数値という意味でその数字を……」
「ふん、そんなモンはワシらが心配する事じゃないわい。
 何なら施設の2つ3つでもメルトダウンさせてやれば、政府だってちゃんとした実験施設を作ってくれるってモンじゃ」
 かかかと笑う敷島に、『数字で説得しろよ』と早乙女は心の中でツッコミを入れた。
 敷島教授に常識は通用しない。
「それにしても早乙女君、この<ゲッター線>てのは良いのう」
 早乙女はその未知のエネルギーを<ゲッター線>と名付けていた。
 命名の由来は実験時に竜崎が叫んだあの言葉から来ている。
 それに間違いはない。
 <ゲッター>という言葉が、早乙女の脳裏に焼き付いていたのは確かな事実だ。
 が、いざその呼称に決めてみると、不思議な程にその響きが当然の物のように思えてしまうのである。
 それどころか、その未知のエネルギーの存在自体——そのイデア自体が持つ名称であるとすら感じてしまう程に、至極当たり前の物に思えた。
 竜崎は、いったい何故あの時『ゲッター』と叫んだのであろう?
 いや、むしろ「何故そう叫ぶ事が出来たのか?」というべきか。
 竜崎は<ゲッター線>の事を、何か知っていたのではないのだろうか?
 そんな風にすら、思えてしまう。
「エネルギー効率、内在する熱量の総和、解析不能領域、どれを取っても現存するエネルギー源とはケタが違う!
 人体にも影響が無さそうじゃしのう」
 早乙女は実験時に<ゲッター線>を浴びてから、何度もメディカルチェックを受けている。
 が、異常は皆無であった。
 その後に行ったラット実験でも、現時点で異常は見られない。
 本来は竜崎も共に被験体としての検査を行うべきなのであるが、なにぶん行方不明であったために、データとしては早乙女の物だけが提出されている。
「それに、何と言っても宇宙から無限に降り注いでいるという所が素晴らしい!!
 この<ゲッター線>の解析が進み有効利用されれば、人類はエネルギー問題から解放されるやも知れん!
 エネルギー環境のパラダイムシフトが起こるぞ!
 まったく、何で今までこの<ゲッター線>が発見されなかったのか、不思議なくらいじゃ」
 その通りなのだ。
 実験によって<ゲッター線>を発見出来た事により付随的に判明したのだが、<ゲッター線>はG鉱の中にだけ存在する物では無く、実は宇宙から地表に降り注ぐ数々の宇宙線の中にもその存在を示したのである。
 ——物差しが無ければ測れない。
 <ゲッター線測定器>が存在しなければ、確かに認識する事すら出来なかった訳なのだが、それにしてもこれ程のエネルギー量を持つ宇宙線を、その存在すら推察出来ていないというのは何とも不思議な話である。
 運命論など片腹痛いが、今このタイミングで早乙女の手によって発見されたという事に、何かしらの意味があるのでは? と穿ってしまえる程に。
 そしてまた、その<ゲッター線>を古来から浴び続けても尚、普通に生命活動が出来ている人類には「<ゲッター線>は無害である」と言っても構わないと、推察も出来よう。
 知らずの内に、人類は<ゲッター線>と共に歩んでいたのである。
「じゃがな、早乙女君!
 そ〜んなコトはワシにとっちゃどーでもいいんじゃよ!!
 真に重要なのはただ一点!!
 この<ゲッター線>を使えば、とんでもない程強力な兵器が作れるというコトなんじゃぁ〜!!」
 敷島の独り語りを右から左に聞き流していた早乙女の眼前に、敷島の醜悪な顔がぬっとアップになった。
「わっ!!」
 鼻と鼻が触れ合う程に顔を近づけられた早乙女は、心臓が止まるかと思う程に驚き、後ずさりをする。
「お、驚かせないでください!!
 教授の顔、心臓に悪いんだから!!」
 チンピラヤクザの竜作を笑う事は出来ない。
 敷島の顔のアップに未だ慣れる事の出来ない早乙女の心臓は、早鐘のように鳴っていた。
 きっと、これからも慣れる事は無いだろう。
「てか、強力な兵器って……オレは別にそーゆーつもりで<ゲッター線>を……」
「いいか、早乙女君!! 
 強力な兵器と言ってもアレじゃ、原爆なんかとは違うんじゃよ?」
 敷島の目がキランと光った。
「アレはいかん。
 アレには兵器としてのロマンが無い。
 爆発の威力は認めるが、撒き散らす放射能がその後の被爆者を苦しめるなんてのは、兵器として風上にも置けん!
 兵器ってのは、人を綺麗さっぱり吹き飛ばすか、そうでなければズタズタに切り裂くか、ボコボコに穴を開けるか、グズグズに押し潰すかしてこそ、意味がある。
 その兵器自体の力によって人の命を奪う所にロマンがあるんじゃ!!
 副産物で長期に渡り人々を苦しめるなど愚の骨頂。
 スバーッと綺麗に殺戮してこそ真の……」
 元々、兵器に対するその偏執さを買われて、先の大戦では軍で兵器開発に従事していた敷島である。
 語り始めたら止まらない。
 早乙女は、敷島の「語りたいスイッチ」の地雷を踏んだ自分の迂闊さに溜め息を吐いた。
 こうなると敷島の演説は止まらない。
 肩を落としながら敷島の演説を右から左に聞き流していると、救いの手が差し伸べられた。
 和子が研究室の廊下から「ちょっと」と、手のひらで早乙女に来い来いと手招きをしていたのである。
 早乙女は演説を続ける敷島の目を盗み、そ〜っと廊下に逃げ出した。
「やはり美しい兵器の筆頭と言えば、何を置いてもガトリング砲じゃ!
 あれこそ破壊美の最たる物。
 絶え間無く発射される銃弾の雨! 手に伝わる小気味良い振動! 
 次々に破砕されて行く標的の様と言ったらそれはもう……」
 敷島には最早早乙女の事も眼中に無いようで、踊るような身振り手振りを交えながら、宙空を仰ぐように、独り悦に入りながら語り続けるのであった。

 早乙女とリッキーは竜作達チンピラと別れ、大学院に帰っていた。
 竜崎を見失った二人は、和子との約束もあり大学院に戻る事にしたのだ。
 早乙女は催促されていたレポートを仕上げると、敷島に提出するためリッキーと共に敷島の研究室に足を運んだ。
 そして今、敷島の演説が響く研究室の廊下で、早乙女は窓枠に寄り掛かり窓の外を眺めている。
「敷島教授って、何だか怖いわ……」
 研究室内で独り兵器の演説を続ける敷島を横目に、早乙女の前に立つ和子が呟いた。
 早乙女はその言葉に研究室の方に目を向ける。
 自分の世界に入り切って演説を続ける敷島の後ろでは、リッキーが物珍しそうに、研究室内に陳列されている物を、眺めてはいじくり回していた。
「まぁ、かなり偏った所がある人だからね。
 馴染めないのも無理は無いよ」
 早乙女はくすりと笑う。
「でもね、あの人の兵器工学の発想力と技術力ってホントに凄いんだぜ。
 その開発力をちょいと間借りしたもので、電化製品や車、飛行機、自動機械全般への転用されてる技術っていくらでもあるくらいなんだ。
 パテントだっていくつ持ってるのか解りゃしない」
 兵器開発への偏執さこそあれ、早乙女は敷島の才能を心から認めていた。
 偏見に左右されずに素直に他人を認める事が出来るからこそ、早乙女の回りに自然と人が集まるのであろう。
 早乙女とは、そういう男なのだ。
「見てくれも凄いけど、それに負けないくらい才能だって凄いんだぜ。
 天才ってのは、あーゆー人の事を言うんだよな。
 ま、確かに見てくれに似合った方向での才能ではあるけどさ」
 早乙女はケラケラと笑った。
「それ、褒めてるの?」
 和子が溜め息をつく。
「早乙女くん、変な人とばかり相性がいいんだから……先が思いやられちゃうわ」
「大丈夫。キミには苦労は掛けないよ♪」
 早乙女はおどけて見せた。
「早乙女くん、口ばっかなんだもん」
 和子が口を尖らせた時、研究室から小さな爆発音が聞こえた。
 二人が部屋を覗き込むと、リッキーが顔を爆発のススで真っ黒にさせ、二本の棒を持ってキョトンとしている。
 敷島の発明品をいじって、暴発でもさせてしまったようだ。
「リッキーも、懲りないなぁ」
 早乙女が呆れた。
 どうやら、毎度の事のようである。
 リッキーは「こりゃ! 勝手に触るなといつも言ってるじゃろ!」と敷島にスパナを投げ付けられた。

「……あ、いけない。そんな話じゃ無かった」
 二人が窓際に戻ると、美奈子が思い出したように言った。
「美奈子さん、竜崎君の部屋で一人で待ってみるって。
 大家さんから鍵を借りられたから、大丈夫だって、言ってたわ」
「そうか」
「美奈子さん……可哀想……」
「そうだな……」
 早乙女は和子に竜崎と会った事を切り出す事が出来なかった。
 結局チンピラヤクザと関わり合いを持ってしまった事を、言い出す事になるのが気が引けた訳では無い。
(いや、ちょっとはあるのかも知れない)
 あの竜崎の変わり果てた姿を、和子に何と言っていいのか解らなかったのだ。
「後で、竜崎の部屋にみんなで行ってみようか。
 美奈子さんの様子を見にさ。
 ぼちぼち陽も暮れるし、惣菜でも持って行ってみんなでメシでも食えば、少しは美奈子さんも気が紛れるんじゃないかな?」
 早乙女は無理に笑顔を作った。
「そうね。そうしましょうか」
 和子の顔も明るくなる。 
「それに、もしかしたら……」
 早乙女は聞こえないような小さな声でつぶやいた。
「ん? 何か言った?」
「……いや、何でもない」
 もしかしたら、竜崎も部屋に帰っているかも知れない……
 早乙女は、美奈子の名を口にしたあの時の竜崎の涙を、信じたかった。


To be continued.

↓NEXT
http://hiroz.asablo.jp/blog/2008/05/26/3543193
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↓小説の目次&登場人物紹介&用語解説はコチラ
http://hiroz.asablo.jp/blog/2008/03/26/2846713

●映画『相棒』2008年05月21日 22時51分14秒

人に観に行こうと誘われたので、観に行きました。映画『相棒』。
感想は……予想通り。普通でした(笑)。

オレはTVドラマってほとんど観ないのですが、
コレは再放送とかでやってるのを見かけると、タマに観てました。
『相棒』のTVシリーズは『太陽にほえろ』とかと同じ匂いのする、普通の刑事ドラマだな〜。ってのが感想で、そーゆーベタな刑事ドラマは世代的にも結構好きなのですよ。
『はぐれ刑事純情派』とかと同じような好き目線ね。
だから誘われた時にとりわけ拒否もせずに観に行ったのですが、
「コレ、別に映画館で観るような作品じゃ無いだろうなぁ」
と思って行ったら案の定そうだったので、感想が「普通」というワケです。

褒める方から言えば、オレの鑑賞評価の基本である「観てて尻が痛くなるのが我慢出来るかどうか」はクリアしてます。
最後までフツーに楽しんで観れました。

で、悪い方。
コッチは挙げると実はキリが無いのですが、一番は根本的な部分を言えば、エンターテイメントに徹し切れていなかった。という点。
コレ、極めて日本映画的な点なんですが、TVドラマを映画化出来る!となった時に、やたら「立派にしよう」という意志が悪い方に働いちゃうんですよ。
(ろくすっぽTVドラマを観ない奴がよく言うよ(笑))
単純なアクションドラマ、もしくはキャラクタードラマにすればいいものを、変に社会派ドラマを目指そうとするから、観終った後の爽快感が得られなくなっちゃうような作りになってます。
実際の尺だとアクションシーンの方が多いハズなんですが、
体感的にはアクションシーンと社会派シーンが1:1くらいに感じられてしまう。
つまりは虻蜂取らずなんですね。
社会派ドラマにしたいなら、むしろアクションシーンなんかちょっとにして、右京&亀山(主人公コンビ)目線の骨太な社会派ドラマにした方が絶対に面白くなるのに。
特に顕著なのが、犯人逮捕後からエンディングまでが長すぎ。
ココが一番リズムを壊してました。
アクションドラマにしたいなら、(あの内容なら)逮捕後の尺は5分くらいで充分。
むしろ社会派ドラマにしたいなら、逮捕後のあのノリで全編を描くべきでした。

この映画では、「マスコミの加熱報道に躍らされる市民」を皮肉って描いているエピソードがストーリーの根底を成しているワケですが、この映画『相棒』、興行収益一人勝ちな程に客が入ってるらしいですね。
でもさぁ、映画としてそこまで面白い作品かなぁ〜?
コレなら金が掛かってるってダケで、むしろ「TVシリーズ内での、完成度の高い回」の方が面白いんじゃないか?
と、そんな風にしか思えないオレには、まさしくこの映画を「人気あるみたいよ」とか「テレビでいっぱいコマーシャルやってるし」と、劇場に観に行ってるあなたこそが、ストーリー内で批判されてる市民そのものなのです。
と言われているような、メタな感覚にまで囚われてしまいました。
もし本当にそこまで演出の計算の内だったのなら、心の底から敬服します(笑)。

ところで、上映前に映画館の下の階の喫煙所でタバコ吸ってたら、
通りすがりの人が
「犯人って、○○だったじゃん」(○○部は役者さんの下の名前。名字は聞き取れ無かった)と話しているのが聞こえてしまい、
「ゲー! もしかしたら、オレ犯人役の人の名前、聞いちゃったかも!?」
と打ちひしがれてしまいました。
行ったのがマイカルシネマだったので他の映画の話かも知れない。という可能性はあったものの、多分『相棒』の話であろうと。
刑事ドラマで犯人が先に解ってしまうと致命的な事もあるので(探偵ドラマだと確実に致命的)、肩を落としながら観始めたのですよ。とほほ。
○○という名前から予想される名字の役者さんを「いつ出て来るのかな〜?」と思って観ていた所、最後まで出て来ませんでした。
犯人が解る1分前くらいに、「あ、コッチの○○さんだったのか!」と気付いたくらいだったので、犯人探しに関しては、役者名を勘違いをしてたおかげで、普通に楽しむコトが出来ましたよ。
ヨカッタです。不幸中の幸いでした(笑)。

原作ゲッターを久々に読んで2008年05月26日 02時07分20秒

石川漫画版ゲッターを久々に読んで思ったコト。
『ゲッターロボ』第12章「百鬼帝国の陰謀」で、
リョウが記憶を失い、包帯まみれで早乙女を襲うシーン。
逃走した包帯男を「あれは確かにリョウだ」と言う早乙女に、反論するハヤト。
「あれはリョウなんかじゃねぇ
 あいつの目は野獣だった
 理性のねぇケダモノの目だった
 あんなのがリョウのハズがねぇ」

……野獣でケダモノ。それこそ石川ゲッターのリョウの姿では?(笑)

ゲッターロボ-The beginning- 010(第2章)2008年05月26日 06時56分08秒

***
 夕焼けが街を包み、はしゃぎながら家路へと向かう子供達の影を長く伸ばしている。
 民家と民家の間にはまだ草むらが生い茂る原っぱの多いこの時代、子供達にとっては帰り道だって遊び場なのだ。
 友達とのかくれんぼに気を取られていたのか、隠れている友達を探すのに夢中な鬼役の子供が、立ち止まっていた人影にぶつかって尻餅を着いた。
「いてて……ごめんなさい」
 子供は立ち上がり、ペコリと会釈をすると再び友達と駆け出して行った。
 その時、子供は気付かなかったのだ。 
 その、時期の早いトレンチコートを着込んだ男の顔を見上げずに頭を下げていたから。
 目深に被ったソフトハットに隠れたその緑色の顔を、見る事が無かったから。

 早乙女たち三人は、大学院の近くにある仕出し屋で山程買い込んだおにぎりや惣菜の包みを抱え、竜崎の下宿へと向かっていた。
「リッキー。歩きながら食べるの、はしたないわよ」
 中身がぎっしりと詰まった茶色い紙袋を両手で抱え込んで歩くリッキーに、和子は呆れ気味である。
「だってあそこのおにぎり、すっごく美味しいんだよ。
 この塩加減が絶妙〜♪」
 リッキーは竜崎の下宿に着くまで我慢が出来ないのか、胸に抱え込んだ紙袋を落とさぬように器用におにぎりを食べながら歩いている。
「んもう、リッキーったら。
 でも、それ本当に一人で食べるつもりなの?」
 ぶっちゃけ、リッキーが抱え込んでいる大きな紙袋の中身は全てリッキーのみが食べる分である。
 和子と早乙女と美奈子用に買った分は、早乙女の抱える袋の中。
 つまりは三人前を越える量をリッキーは一人で食べるつもりなのだ。
 毎度の事とは言え、和子はリッキーのその食欲に驚嘆するばかりである。
「うん。今日ちょっと運動しちゃったからね。
 お腹減っちゃって減っちゃって」
「あら? 今日ってずっと私と一緒だったじゃない。
 私が美奈子さんを送ってた間に、何かしたの?」
 ——やばいっ!
 二人のやりとりを聞いていた早乙女の顔が青くなった。
 和子にはチンピラヤクザに頼まれて竜崎を探しに行った事を、まだ話していないのだ。
 竜崎の事はまだしも、チンピラに関わった事を知られたらどんな雷が落ちるか解らない。
「な、なぁリッキー。お前ソレ、持って来ちまったのか?」
 早乙女は慌てて会話を逸らそうと紙袋で塞がっている両手の代わりに顎を動かし、リッキーの腰にぶら下がっている二本の鉄製のトンファーを指した。
 トンファーとは琉球武術等で用いられる武具の一種で、約45センチメートル程の長さの棒の片端近くに握りとなる短い柄が垂直に付けられた形状の物である。
 棒が腕に沿うように柄を握ると防御に適し、握ったまま柄を中心に180度回転させ、棒が相手の方に向くように握り直すとリーチが棒の分だけ伸びるため、攻撃に適す事になる。
 また、棒と握りは完全なL字型では無く、棒が腕に沿うように握った場合でも拳の位置より先に棒が少し突き出すため、その状態でもトンファーの打撃を加える事が出来る。
 そのため、むしろ裏拳や肘系の格闘術の延長として用いられる事も多く、持ち方を変えるだけで一瞬に変わるその二種類のリーチは実戦での間合いの駆け引きにおいて極めて有益であり、使いこなせればとても便利な武具と言える。
 本来のトンファーは木製なのだが、リッキーの腰にぶら下がっているそれは敷島教授の特製であり、鉄製でそのサイズも太さも通常のトンファーより二回りは大きい物となっていた。
「うん。だってコレ、面白そうなんだもん」
 リッキーは食べていたおにぎりの残りをポイと口の中に放り込むと、とぼけた顔をして指を親指から順に舐めている。
 や、別にとぼけているわけでは無い。それがリッキーの素なのだ。
「よく敷島教授が貸してくれたな?」
「えへへ。黙って持って来ちゃった」
 リッキーはペロリと舌を出した。
「後で怒られるぞ?」
 眉をひそめながら早乙女が言うと、悪びれもせずにリッキーは袋から新しいおにぎりを取り出し、バクついた。
「大丈夫大丈夫。アタシ、敷島センセとは仲いいから。
 これまでだって何も言われ無かったし。
 むしろ『使うんならデータをちゃんと持って帰って来い』って言われてるくらいだもん」
 つまりは敷島教授の珍発明の体の好いモニター役という訳である。
「だって竜崎があんなになっちゃってたワケだしさ、こういうの使う事もあるんじゃないかって気がするのよね〜
 アタシのカン、当るんだから」
 それは、確かにそうかも知れない……
 早乙女がうなずこうとした時、和子が口を挟んだ。
「え? リッキー、竜崎君を見付けたの?」
 しまった! と早乙女が思った時は既に遅かった。
「あれ? 早乙女から聞いてない?
 昼間のチンピラに案内されて、竜崎に会いに行ったんだよアタシ達」
 早乙女が和子に秘密にしようと思った事は、こうして全てがリッキーからバレてしまうのである。
 悪気が無い分、始末に負えない。
「あ? もしかしてチンピラと関わった事がバレるといけないから、内緒にしていたとか?
 そうなの早乙女?」
 思った事は全て口に出してしまうのがリッキーだ。
 そこまで言われてしまっては早乙女だって身も蓋も無い。
 それもあるけど、それだけでは無いのだ。
 竜崎の変貌した姿を和子に、いや田宮美奈子にどう伝えればいいのか早乙女は今でも悩んでいるのだから。
「早乙女くんのバカっ!!」
 和子の言葉に早乙女は首をすくめた。
 が、その「バカっ!」はいつもの雷では無かった。
「何でそれを早く言わないのよ!
 竜崎君を見付けたなら、早く美奈子さんに教えてあげなきゃ」
 和子は駆け出していた。
 まだ会ったばかりの美奈子の事をそこまで心配してあげられる。和子はそういう女性なのだ。
 三人は竜崎の下宿の手前まで来ていた。
「和子さん、ちょっと待ってよ」
 荷物の多い早乙女とリッキーが和子の後から付いて来る。
 和子が一足先に通りの角を曲がると、竜崎の下宿が目に入る。
「だって美奈子さん、心配してるのよ!」
 後方に離れた早乙女の言葉に答えるため余所見をした拍子に、トレンチコートの男にぶつかってしまった。
「きゃっ。
 やだ、すみませんでした」
 頭を下げ通り過ぎようとした時、同じトレンチコートを着たもう一人の男に道を塞がれてしまう。
 男は二人共、ソフトハットを目深に被っている。
「あの……通してもらえませんか?」 
 和子の行く手を阻むように不自然に立ち塞がる二人の男に、和子は違和感を感じた。
「すみません、急いでいるんですけど……」
「……ここハ、通セない」
 男の声は無機質で聞き取り辛かった。
「え?」
 和子が聞き返すと、男はノイズ混じりの無機質な声で言った。
「ギ……あのガキみたくナりたく無かっタら、引き返す事ダ」
 和子は男が指差す草むらを見る。
 夕陽で出来た木の影に隠れて見え辛かったが、そこには同じようにトレンチコートを着た男が生い茂る草むらの中に居るのが解った。
「ひっ!」
 その男が何をしているのか理解した時、和子の全身が硬直した。
 草むらの中に居るその男は、子供の内蔵を、腹を裂いて喰らっているのだ!!
 腹を裂かれた子供の胴体に首は無く、傍らに血まみれの生首が転がっていた!
「もっトも、見られタからには帰す気は無いがナ」
 和子は引きつった表情のまま話し掛ける男の顔を見上げる。
 ソフトハットの下に隠れていたその顔は、口が耳まで裂け、細かい牙が生え揃い、角質化した鱗のような緑色の皮膚で覆われていた。
 それは内蔵を喰らう男の顔と同じで、人間の物では無かった!!
「きゃぁあああああぁぁぁ!!!!」
 あまりの恐怖に和子は叫び声を上げた!
 ………………化け物!!
 和子の前に立つトレンチコートの二人の男は、人間とは掛け離れた異形の顔を持つ者であった。

To be continued.

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ゲッターロボ-The beginning- 011(第2章)2008年05月26日 06時59分12秒

「和子さん!?」
 和子の悲鳴に早乙女とリッキーが慌てて角を曲がる。
 二人は和子の腕を取る二人の男の姿を見て驚愕する。
 その男達は、あたかも人の姿を模したハ虫類のように見えた。
 二足歩行をするハ虫類がトレンチコートを着て、和子を襲っているのだ。
 和子を掴むその手は鱗で覆われ、鋭い爪が伸びている。
 人間の物では無い。 
 早乙女は男達の姿に一瞬怯んだものの、買い物袋に手を入れ茹で卵を掴むと異形の者に向かって投げ付けた!
「化け物! 和子さんを放しやがれ!!」
 茹で卵は異形の者の目にヒットし、砕けた。
 卵の殻がヘビのような男の目に刺さる。
「グギャァアアァァ!!」
 男は自分の顔を押さえると掴んでいた和子の腕を放した。
 和子はその隙に逃げ出す。
 早乙女の元に駆け寄った。
 リッキーが和子を庇うように前に出て、早乙女と並ぶ。
「和子さん! 大丈夫か?」
 早乙女の問いに、ガチガチと歯を鳴らしながら和子は頷いた。
 あまりの恐怖に声は出ないが、早乙女たちが間髪入れずに来てくれたため怪我はしていない。
「さ、早乙女!! 何アレ? ば、バケモンだよ?!」
 トレンチコートの男達と相対して、まじまじとその顔を見たリッキーが驚きの声を上げた。
「ああ。オレにもそう見える」
 短気でキレ易いが、こういう異常な事態になればなるほど先ず冷静になるのが早乙女である。
「まるでハ虫類……ヘビだワニだというより……恐竜人間みたいだな、ありゃあ」
 そう、恐竜。
 人間サイズの小型の恐竜が、二本足で立っているというのが的確である。
「こ、子供が…………子供が……」
 恐怖に脅える和子が声を何とか絞り出し、震える手で草むらを指差す。
 草むらを見た二人の目に首と胴体の離れた子供の死体が目に入った。
 裂かれた胴体からは内臓が飛び出している。
 ——酷い!!
「きさまらぁ!!!」
 怒りに目の前が真っ赤になった早乙女が動き出す前に、恐竜人間は動いていた。
 草むらに目を移した一瞬の隙を狙われたのだ!
「キシャァァアアア!!」
 奇声のような叫び声を上げ、目の前に立っていた二匹の恐竜人間が早乙女に飛び掛かった。
 一匹は3メートル以上飛び上がった上空から、一匹は地を這うように足元から襲いかかる!
 速いっ!!
 早乙女は片足を軸にして回転しながら上体をひねるように一匹を交わすと同時に、足元を狙って来た一匹を蹴り上げた。
 宙を飛んで来た一匹の爪が除けきれなかった買い物を裂き、おにぎりや惣菜を地面に散らばせた。
 二匹のあまりの素早さに早乙女の反応がコンマ数秒遅れたのだ。
 リッキーは買い物袋を放り投げ腰に差していた二本のトンファーを取り出すと、その片方で早乙女が交わした一匹の顔面を打ち抜いた。
 グシャッ!!
 骨が砕ける鈍い音と共に、恐竜人間の顔がメリ込んだ!
「ギャァァァ!!!」
 叫び声を上げてのたうち回る恐竜人間。
「リッキー! 後ろ!!」
 トンファーで一匹を打ち抜いたリッキーの背後に子供を喰らっていた一匹が飛び掛かるのを見て、和子が叫んだ!
 恐竜人間の鋭い歯がリッキーの首筋を狙う。
 ガキッッ!!
 リッキーは振り向かぬままにただ腕を上げ、首筋をトンファーでガードする。
 恐竜人間の歯は鉄製のトンファーに噛み付き、折れた。
 リッキーは噛み付かれたままにトンファーを恐竜人間ごと振り回す。
 宙を泳ぐ恐竜人間。早乙女がハイキックをブチ込んだ!
「グギャ!!」
 何というコンビネーション!!
 不意を突かれた事を意にも介さない程、早乙女とリッキーの息は合っている。
「早乙女、何よコイツら?!」
「オレが知るか!!」
 こんな化け物共の事など知る訳が無い。
 唯一つ解っているのは、この異形の者共が明らかに自分達に敵意を持って襲って来ている事だ。
 しかもこの異形の者共は、尋常じゃ無い程の身体能力を持ち合わせている。
 少しでも気を抜けば、早乙女たち三人は瞬く間に草むらに転がる少年と同じ姿になってしまうであろう。
 この状況は兎に角不利だ。
 早乙女とリッキーだけならまだしも、和子を守りながらでは思う様に戦えない。
「和子さん、逃げろ! 逃げるんだ!!
 ここはオレ達がなんとかする!!」
 背中越しに和子に声を掛ける。
 和子は恐怖に震えながらも軽くうなずくと、踵を返し、走り出す。
 二人の足手まといにならぬよう和子は必死で走った。
 逃げ出す和子の姿を見付けた恐竜人間は、そうはさせじと和子に向かって跳んだ!
「させないよっ!!」
 リッキーがトンファーの握りを変える。
 突き出すように伸びたトンファーの先で跳躍する恐竜人間の腹を打ち抜く!!
 が、
「うわっ!!」
 トンファーの先端は、かすめただけだ。
 リッキーは足に激痛が走ってバランスを崩したのだ。
 足元に倒れていた恐竜人間が、リッキーの足に噛み付いていた。
「このぉ!!」
 リッキーは噛み付く一匹にトンファーを打ち下ろす!
 恐竜人間は素早く離れ、それを交わした。
 先程のリッキーの一撃で陥没しているとは思えない程の素早さである!
 人間なら確実に死んでいる筈の一撃を喰らっていても尚、奴等は俊敏に動くのだ!!
「……嘘でしょ?」
 不死身とも思える異形の者達の生命力に、リッキーは絶句した。

 リッキーが逃した和子を追う一匹を追い掛けようとした早乙女だが、トンファーで歯の欠けた恐竜人間に阻まれてしまった。
 鋭い爪が矢継ぎ早に早乙女を襲う。
 早乙女の衣服は裂け、頬には細かい裂傷が増えて行く。
「きゃぁあ!!」
 和子の短い悲鳴が上がった!
 和子が恐竜人間に殴打され、激痛に気を失ったのだ!!
「和子さん!!」
 和子の悲鳴に反応が遅れた早乙女が、歯の欠けた一匹の一撃を腹部にもらってしまう。
「ぐえっ……」
 内臓がえぐられるような一撃!!
 早乙女の腰が沈む。
 早乙女は歯を食い縛りその一撃に耐えた。
 恐竜人間は間髪入れずに早乙女の顔面を狙う!
 早乙女はさらに腰を沈め、空を切った歯欠けの一匹の腕を取り、そそまま背負い、投げた!!
 一本背負いが綺麗に決まった!
 和子を殴打した一匹は、和子の胸倉を掴みその首筋に牙を立ている。
「きさまぁ!!!」
 早乙女は二つの下駄を手にすると、和子を襲う一匹に向かって走り出すと同時にそのひとつを投げ付ける。
 投げ付けた下駄が恐竜人間の頭にヒットした。
 和子を襲う一匹が、振り返る。
 その振り返りざまに目掛けて早乙女は下駄を手にしたまま殴り付けた!
 それは走り抜ける加速の付いた、文字通り必殺の早乙女下駄パンチ!!
 宙に舞う恐竜人間。
 早乙女はその隙に和子を引き起こし、原っぱに積まれている土管の影に和子を寝かせた。
 和子の頬には殴打された跡が痛々しく腫れ上がっている。
「和子さん! 大丈夫か?! 和子さん!!」
 和子の肩を軽く揺すり、早乙女は声を掛ける。
「う……うぅ……」
 息はある。
 早乙女は安堵の溜め息を吐くと、怒りに我を忘れた。
 和子を襲った奴と歯欠けの二匹が、土管の影に居る早乙女たちに向かってにじり寄って来る。
「きさまらぁあああぁ!!!!」
 早乙女は立ち上がると、怒りにまかせ積まれている土管を一本持ち上げ始めた。
 直径1メートル30センチ、長さ5メートル程のコンクリート製の土管である!
「うおぉぉおおおお!!!」
 両腕の筋肉から血管が浮き上がる。
 早乙女は抱えるように、その大きな土管を持ち上げた!
「喰らいやがれェ!!」
 早乙女は土管を野球のバットでも振り回すかのように、横に薙ぐ!
 二匹の恐竜人間は逃げる間も無く、一気に薙ぎ払われた!!
「ギャァア!!」
 倒れた二匹に向かい早乙女は土管を投げ付ける。
 グチャッ!!
 一匹の胴体を土管が押し潰した!
 が、歯欠けの一匹には素早く跳躍されよけられてしまう。
「早乙女ぇ! ダメだよコイツら、キリ無いよ!!」
 リッキーが掛け寄って来た。
 リッキーが相対していた一匹の顔は陥没し、片腕は取れ、残る腕の関節はあらぬ方を向いているというのに、それでもリッキーを追い掛けて来ている。
 リッキーの全身には細かい裂傷や打撲傷が出来ていて、その格闘の壮絶さを物語っていた。
 早乙女も呼吸は荒く、肩で息をしている。
 不死身とも思える化け物達を相手に、このままではジリ貧である。
 土管に潰された一匹の身体が動いた。
 土管の下敷きになって動かぬ下半身を自ら引き千切り、上半身だけで抜け出そうとしているのだ。
「うっ……」
 その異様さに、吐き気が咽まで上がって来る。
 あんなになってもまだ生きてるというのか?
 こんな奴等相手に、これ以上どうやって戦えばいいと言うのだ!!
 考える間も与えぬように、早乙女に攻撃の焦点を合わせた二匹が一気に跳び掛かった!
「リッキー! そいつを貸せ!!」
 早乙女の言葉にリッキーが二本のトンファーを投げた。
 早乙女はトンファーを受け取ると、トンファーを銃のように握り、柄の底部にあるスイッチ——セーフティスイッチを外した!
 早乙女はまるで二挺拳銃で狙いを定めるかの如く両手を広げて、二本の鉄製のトンファーの先端を迫って来る二匹に向ける。
 化け物達までの距離、約3メートル!
 セーフティを外した事で飛び出した、トリガーを引く!!
 ドワッ!!
 発射音と共に鬼のような反動が早乙女の腕を襲う。
 肩が抜ける程の衝撃。
 トンファーから飛び出したのは小型のロケット弾!
 化け物達に着弾し、炸薬が、破裂する!!
「グギャァアアアアアアァアアァ!!!!」
 ドンッ!!
 爆音と共に、二匹の恐竜人間の身体は四散していた。
 早乙女は燃え燻りながら落ちてくる肉片の中を、土管から抜け出ようとしている最後の一匹に向かい歩き出す。
 何とか身体を引き千切れた最後の一匹は、這いずりながら、早乙女の気配に振り仰いだ。
 早乙女はそんな恐竜人間を見つめ、無表情のまま思い切りトンファーを顔面に突き刺した。
 頭部を串刺しにされた異形の者は、今度こそ、動く事は無かった。

「こんな仕掛けがあったんだ、コレ」
 リッキーが唖然としながら、早乙女から返してもらったトンファーを眺めている。
「気付かなかったのか? 
 さっきも敷島教授の研究室で、ソレ暴発させてたじゃないか」
 早乙女は呆れた。
「いや、ほら、あそこにある物ってさ、アタシが触るとみんな爆発しちゃうからさ。
 コレが特別そうとは……」
 リッキーはバツが悪そうに頭を掻いた。
「ソレ、バズーカトンファーって言うんだよ」
 早乙女はバズーカの反動で痛めた肩を、確認するようにくるくると回した。
「この前、作った時に自慢されたんだ。
 あの人もとんでも無いモノを作るよな、まったく。
 なんだよあの反動。
 フツーの人間じゃ、絶対肩を持ってかれるって。撃てないよ、ソレ。
 もっと考えて作ってくれってんだ」
 つまる所、そんな物を撃てる早乙女は普通では無いのだ。
 幸い、肩は何とも無いようである。
「だからさ、リッキーの使い方見ててドキドキもんだったよ。
 いつ中のロケット弾が暴発するんじゃないかって、もうヒヤヒヤ」
 リッキーは、中にロケット弾が仕込まれているトンファーで相手を直接殴り付けていたのだ。
 振動でいつ暴発するか解ったものでは無い。
 というより、打撃武具であるトンファーと、ロケット弾を充填しているバズ−カをひとつにまとめようとする方が間違っている。
「まぁ。リッキーなら暴発慣れしてるから、心配はしなかったけどね」
 リッキーを茶化す早乙女の表情に、ようやく笑みが戻った。
 安堵の空気が二人に流れる。
「和子、大丈夫なの?」
「気を失ってるだけみたいだけど、とにかく医者に見せないとね。
 それとオレ達、早くココから立ち去った方がいいかも」
 この騒ぎを聞きつけ、近所の住民が騒ぎ出している声がした。
 そりゃ、ロケット弾が爆発してるのだ。
 普通、騒ぎになる。
 倒れている和子をリッキーが抱き上げようとした時、ガラスが割れる音がした。
 竜崎の部屋の方だ!
「何だ?」
 早乙女が音の方に向かうと、二階にある竜崎の部屋からいくつもの人影が飛び出して来た!!

 To be continued.

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●インターネットが世界に繋がってるなんてウソっぱちだ!2008年05月28日 19時04分19秒

インターネットが世界に繋がってるなんてウソです。
そんなの幻想です。
わー! やめろー! 石投げるなー!!
わ、わかりましたよ。
繋がってます、繋がってますって。
わかったから百歩譲って、本当に世界中に繋がっているって、認めてあげてもいいですよ。くすん。
でもね。
誰も見に来ないホームページなんか、世界に繋がってようがいまいが意味ないんですよー!
意味ないんですよー
ないんですよー
ですよー
すよー
(↑エコー)

まぁ、アレですよ。
今ブログに『ゲッターロボ-The beginning-』とかいう小説を書いてるワケですよ。
一生懸命書いてたりするワケですよ。
命を削って書いてたりするワケですよ。(←これは嘘)
……なのに、
……なのにコメントが付かないんですよー!
ないんですよー
ですよー
すよー
(↑エコー)

いやまぁ、カゼさんとかママさんとか、タマにコメントを付けてくれる人は居るワケですが。
とても嬉しいです。心から感謝をしています。

でもでも、
アップした毎に付けてくれなきゃやだぁ〜! あんあん。
「甘ったれるな! 毎回コメントを付けてくれるおめでたい人が何処に居るか!!」
「そんな理屈っ!」
バシッ!!
「な、殴ったね! 親父にもぶたれた事無いのに!!」
バシッ!!
「に、二度もぶった!! もう嫌だ! もう小説なんて書いてやるものかっ!!」
「お前はいい、そうやってわめいていれば気が晴れるのだからな!
 みそこなったよ。お前は石川賢にも認めてもらえるかもしれない男になれる可能性があるかもと思っていたんだがな、残念だよ!!」
「(ず、随分低い可能性ですね、それ)……って、ブライトさん? ブライトさん?」
「アムロ、小説を書く手引書って、あるんでしょ? 私、書くわ。
 自分のやってる事に自信の持てないアムロなんて、男じゃない」
「ありがとう、フラウ。でも君には無理だよ。
 それに……小説を書く手引書なんてあるかぁあああああ!!! オレが欲しいわ!!」

まぁ、アレですよ。
だからといって変なトコに晒されて袋叩きに合うくらいなら、細々と続けて行く方が性に合ってますから。

大体が、自分は他所様のサイトに全然書き込みに行かへんのに、
自分のトコにはコメントが欲しいなんて言うても、そんな身勝手通りません。
そらいけません! とおりません!
(しまった、ローズマリーが左利きだ……。)

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というワケで上の文は全編ネタですからね。
(コメントの催促なんてしてませんからっ!!)
と、断わりを入れておいてですね、
「こんなモン(今日の日記みたいな文のコトね)を書いてるからオレは仕事をしないんだよな」
というのが、今日のグチの本命でした。

●週刊真木よう子2008年05月29日 02時43分38秒

テレビ東京水曜深夜にやってるテレビドラマ
『週刊真木よう子』がなんかイイ。
まだ2〜3回しか観てないが、昔のサブカル系深夜ドラマの匂いがする作り。
オムニバス形式で毎回ストーリーが違うから回ごとに当り外れもあるが、
すべてが主演の「真木よう子」という役者の魅力のみで引っ張れてしまうトコが尚凄い。
こんな役者さんが居たんだな〜。知りませんでしたよ。
とにかく凄いです。

ググったら実写『ペリカンロード』に出てたみたいです。
誰役なんだろう? 観てないからわかんないや。
役名がざっとした検索では引っ掛からない。

てか、わかりやすいトコで言うと『パッチギ!』に出てたみたい。
コレも観てないです。